永久歯に生え変わった後(永久歯列期)では、顎の発育は期待できません。そのため、顎の大きさに比べて歯の並び方のほうが大きければ、小さい顎のほうに歯の数をあわせなければいけません。歯の数を無視したり、無理に歯を並べ替えたりすると将来の歯周病の原因にもなるので、抜歯が必要なこともあります。
非抜歯矯正治療は歯や歯肉にやさしいだけでなく、口元や顔形にいい影響を与える場合が多いです。
顎の発育が終了していれば、顎の大きさと位置を合わせて歯を並べます。
上下の顎の位置がずれている場合、当院では小さい方の顎を基準に前の歯を後ろへさげる治療を行います。歯をさげるには隙間がいるので、抜歯が必要な場合があります。
長年苦しんでいた肩こり・頭痛がなくなり、肩のバランスも良くなりました。悩まされていた習慣性顎関節脱臼症も良くなりました。
永久歯列でも下顎の発育が続くことがあります。遺伝的な原因が多く、治ったと思ってもすぐ再発する場合もあります。
顎の発育が終わっていれば、顎の大きさと位置をあわせて歯を並べる治療をしますが、上下の不調和があまりに著しい場合は外科的手術が必要です。
下の歯が上の歯より前に出ているのが受け口(反対咬合)です。
3歳児健診で4~5%の割合で見つかりますが、「しばらく様子を見ましょう」といわれ、放置するケースが多くなっています。
しかし自然に治る率は低く、治療が必要な場合があります。いつ、どう治療すればよいのでしょうか?子どもと大人に分けて治療法を紹介します。
「矯正→手術→矯正」3年半
健康保険適用の場合→上下両額100万円
顎形成 固定不要の手術も
受け口は子供のうちに矯正器具をつけられても治らなかったり、成長期に悪化したりするケースも見られる。成人の受け口の治療には、どんな方法があるのだろうか。
かみ合わせに悩む都内の30代女性会社員は、大学病院の矯正歯科医を訪ねた。X線撮影などの検査結果を基に、主治医から受けた説明はこうだった。「骨格が異常なので手術が必要。歯列矯正で見た目のかみ合わせだけを整える方法もあるが、歯や歯ぐきに負担がかかり、いずれ悪くなるので薦められない。」会社員は「歯もかみ合わせも長持ちさせたい」と手術を選び「矯正→手術→矯正」の計画に従い、約3年半の治療を受けた。
受け口は「顎顔面変形症」という病気で、咬みにくい、発音しにくいといった機能的問題があった会社員の場合、一連の治療は、いずれも健康保険が適用された。上下両あごの手術を含む自己負担は計約100万円。「改善後はしゃべりやすくなった」と話す。
受け口の原因は大別して2種類ある。一つは、歯のかみ合わせだけが逆の場合で、歯列矯正だけで治る。もう一つが骨格異常だけで顎形成手術と手術前後の歯列矯正が必要だ。
手術は、矯正歯科医が紹介する大学病院などの口腔外科で受けるケースが多く、年々増えている。例えば、新潟大医歯学総合病院の年間手術症例数は、この10年で2倍以上になった。
全身麻酔で口の中からメスを入れ、下あごの左右両側の根元の部分を一度切り離して後退させ、金属製の板やねじで固定する。上あごの後退が伴う場合には、上あごを前に引き出す手術も同時に行う。板やねじは4ヶ月~1年後、あらためて手術ではずす。
歯列矯正は学齢期に施術を受ける患者が多いが、この手術は成長が止まってから受ける。成長期には、下あごなど「長管骨」と呼ばれる骨の両側の細胞が増殖し、成長に伴う変化が大きいからで、成長期に受け口が悪化するのもこのためだ。
ただ、手術前の矯正で歯の傾斜を正しく整えると、一時的に受け口が強まることがある。手術で解消されるが、治療を中断しようとする患者や家族もあり、「正しい治療の経過であることを理解してほしい」と言う。
正しいかみ合わせは、顔の審美的な効果だけでなく、健康上も欠かせない。鶴木院長は、手術が必要なのに10年近く歯科医による歯列矯正が続けられ、思い余って転院してきた患者の例を挙げ「自分はどういう治療を受けるべきなのか、治療方法や時期については顎顔面矯正外科の専門医に相談してほしい」と話している。
原因がどの歯にあるかをつきとめて、その歯を元に戻すことができれば治療が見込めます。奥歯が原因なら奥歯を正しい位置にたてなおし、前歯が原因であれば前歯を伸ばすようにします。ただし、すでに困難な段階では外科的手術で対応する場合があります。
▲矯正前
▲矯正後
顎の発育が終わってしまうと顎の大きさと位置を変えることができないので、顎に併せて歯を並べる方法をとります。あまりに上下の不調和が著しい場合には、抜歯や外科的手術が必要な場合があります。
▲矯正前
▲矯正後